この記事でわかること
- 捨てコンクリートを施工する目的
- 構造体コンクリートや防湿コンクリートとの違い
- 厚さ・強度・配合を確認する方法
- 地業から墨出しまでの施工手順
- 施工時の注意点と数量の拾い方
- 図面解析AIを活用した確認方法
捨てコンクリートは、基礎を正確な位置と高さで施工するために、地業の上へ打設する薄いコンクリートです。
一般に「捨てコン」と呼ばれ、主に墨出しの作業面をつくること、型枠や鉄筋を設置しやすくすること、基礎底面を平らに整えることを目的とします。
通常は建物荷重を支える構造体として設計されないため、基礎コンクリートとは役割が異なります。
一方で、捨てコンクリートの位置や高さがずれると、基礎の墨出し、型枠、鉄筋、アンカーボルトなど、後工程の精度へ影響します。
捨てコンクリートは強度を負担する部材ではなく、基礎を図面どおりに施工するための作業基盤と考えると理解しやすいでしょう。
本記事では、捨てコンクリートの役割、厚さや配合の考え方、施工手順、積算方法、施工時の確認ポイントを解説します。
捨てコンクリートを施工する主な役割

捨てコンクリートの主な役割は、基礎工事の位置と高さを正確に管理できる作業面をつくることです。
基礎や型枠の位置を墨出しする
根切り後の砕石や地盤面は、表面に凹凸があり、そのままでは細かな寸法を正確に表示しにくい状態です。
捨てコンクリートを平らに施工すると、その表面へ基礎芯、型枠位置、柱芯、基礎梁などの墨を表示できます。
基準を確認
通り芯と高さを確認
墨を表示
基礎・型枠位置を記す
部材を設置
鉄筋・型枠を組み立てる
墨出しの基準が明確になることで、基礎の位置ずれや寸法間違いを防ぎやすくなります。
鉄筋・型枠を施工しやすい作業面をつくる
砕石の上へ直接鉄筋や型枠を設置すると、作業中に足元が沈んだり、部材の高さが安定しなかったりする場合があります。
捨てコンクリートによって平たんな作業面をつくると、次の作業を進めやすくなります。
- 基礎鉄筋の組立て
- スペーサーの設置
- 型枠の固定
- 基礎底レベルの確認
- 施工中の移動や測定
また、鉄筋や型枠が地盤の土と直接接触しにくくなり、泥や異物が構造体コンクリートへ混入するリスクも抑えられます。
構造体コンクリート・防湿コンクリートとの違い
捨てコンクリートは施工精度を確保するための地業であり、建物荷重を支える基礎コンクリートとは目的が異なります。
基礎コンクリートは構造体として荷重を支える
| 種類 | 主な役割 | 構造体としての扱い |
|---|---|---|
| 捨てコンクリート | 墨出し、作業面、レベル調整 | 通常は構造体に含めない |
| 基礎コンクリート | 建物荷重を地盤へ伝える | 構造体として設計する |
| 防湿コンクリート | 床下からの湿気を抑える | 通常は荷重支持を主目的としない |
| 土間コンクリート | 床面を形成し、用途に応じた荷重を受ける | 設計条件により異なる |
捨てコンクリートの厚さを、基礎の構造計算上の厚さへ含めることは通常ありません。
基礎の底面高さを確認するときは、捨てコンクリートの上端なのか、基礎コンクリートの下端なのかを図面で区別する必要があります。
防湿シートとは役割が異なる
防湿シートは、地盤から床下へ湿気が上昇することを抑えるために施工します。
捨てコンクリートには施工面を平らにする役割がありますが、それだけで防湿性能を確保するものではありません。
- 墨出し面をつくる
- 作業性を向上させる
- 型枠や鉄筋を設置しやすくする
- 地盤からの湿気を抑える
- 重ね幅や立上りを確認する
- 施工中の破れに注意する
捨てコンクリートと防湿シートの施工順序や範囲は、基礎形式や設計図書によって異なります。
捨てコンクリートの厚さ・強度・配合
捨てコンクリートの厚さや使用するコンクリートは、設計図書や特記仕様書の指定を確認して決定します。
厚さは図面と特記仕様書を優先する
国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」では、捨てコンクリートの範囲と厚さは特記によるとしています。
特記がない場合の標準としては、厚さ50mmとし、平たんに仕上げることが示されています。
厚さを確認する順序
- 特記仕様書
- 基礎伏図・基礎詳細図
- 施工計画書
- 適用する標準仕様書
「捨てコンクリートは必ず50mm」と固定して考えるのではなく、工事ごとの設計図書を優先します。
出典:
国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
強度や配合は一律ではない
捨てコンクリートは構造体として使用するものではありませんが、施工中に人や資材が載っても著しく損傷しない品質が必要です。
国土交通省の標準仕様書では、捨てコンクリートに使用するコンクリートは、無筋コンクリートの規定によるとされています。
実際に使用する呼び強度、スランプ、粗骨材の最大寸法などは、工事の設計図書、施工条件、生コンクリート工場の配合などによって決まります。
住宅や小規模工事でよく使われる数値を、すべての建物へ一律に当てはめるのは適切ではありません。
捨てコンクリートの施工手順

捨てコンクリートは、根切りと砕石地業を行い、地盤面を所定の高さに整えた後で施工します。
地業から打設までの流れ
根切りを行う
基礎底や地業に必要な深さまで地盤を掘削します。
砕石を敷いて締め固める
指定された範囲と厚さに敷き均し、転圧します。
高さと施工範囲を確認する
レベルを測定し、必要に応じて型枠を設置します。
コンクリートを打設する
所定の厚さになるよう敷き均し、表面を平らにします。
墨出しを行う
硬化後、通り芯や基礎・型枠位置を表示します。
打設後に基礎の墨出しを行う
捨てコンクリートが硬化したら、基準墨をもとに基礎や基礎梁の位置を表示します。
墨出しでは、次の内容を確認します。
- 通り芯と基礎芯
- 基礎・フーチングの外形
- 基礎梁の位置
- 型枠の設置位置
- 柱脚やアンカーボルトの基準位置
一つの通り芯を基準にすべての寸法を追うのではなく、複数の基準点や対角寸法を使って位置を確認すると、墨出し誤差を発見しやすくなります。
捨てコンクリートは必ず必要なのか
捨てコンクリートを施工するかどうかは、基礎形式、施工方法、設計図書、現場条件によって決まります。
すべての基礎工事で一律に必要とは限らない
施工面の平たん性や墨出し精度を別の方法で確保できる工法では、捨てコンクリートを全面施工しない場合があります。
また、基礎外周や型枠を設置する部分だけに施工し、内部全面には施工しない計画もあります。
国土交通省の標準仕様書でも、捨てコンクリートの施工範囲は特記によるとされています。
現場判断だけで省略しない
捨てコンクリートが構造体ではないからといって、施工者の判断だけで省略してよいわけではありません。
- 設計図書の指定
- 墨出し方法
- 型枠の固定方法
- 鉄筋の支持方法
- 基礎位置の誤差
- 基礎底レベルのばらつき
- 鉄筋への土の付着
- 型枠施工の不安定化
施工方法を変更する場合は、設計者や工事監理者を含む関係者へ確認し、変更内容を施工計画や記録へ反映します。
捨てコンクリート施工時の確認ポイント
捨てコンクリートでは、構造強度よりも、施工範囲、厚さ、仕上り高さ、表面の平たん性を重点的に確認します。
厚さと仕上りレベルを確認する
砕石地業に凹凸が残っていると、同じ量のコンクリートを打設しても厚さが一定になりません。
打設前後にレベルを測定し、基礎底面や基礎梁底面との高さ関係を確認します。
- 打設範囲が図面と一致しているか
- 所定の厚さを確保しているか
- 仕上り高さが基準内か
- 表面に大きな凹凸がないか
- 墨出しできる状態に仕上がっているか
国土交通省の標準仕様書では、地業工事の施工記録として、厚さ、締固めの状況、仕上りレベルを確認・記録することが示されています。
雨水・泥・防湿シートの破損に注意する
降雨後に根切り底へ水がたまっている場合、そのままコンクリートを打設すると、地業面の乱れや品質低下につながる可能性があります。
水や泥を除去し、砕石の締固め状態と高さを再確認してから施工します。
防湿シートを先に施工している場合は、重ね部分のずれや破れ、鉄筋・工具による損傷にも注意が必要です。
捨てコンクリートの数量を拾う方法
捨てコンクリートの数量は、原則として図面から施工面積と厚さを確認し、体積へ換算します。
施工面積と厚さから体積を求める
基本的な計算方法
捨てコンクリート数量 = 施工面積 × 厚さ
たとえば、施工面積が100㎡、厚さが50mmの場合、厚さを0.05mへ換算して計算します。
この場合の設計上の体積は、100㎡×0.05m=5.0㎥です。
実際の発注数量では、地業面の凹凸、ポンプ配管内の残量、施工ロスなどを考慮する場合があります。ロス率は会社や工事条件によって異なるため、社内基準や施工計画に従います。
基礎伏図と詳細図を照合する
数量拾いでは、基礎伏図だけで判断せず、基礎詳細図や特記仕様書と照合します。
- 基礎と基礎梁の配置
- 施工対象となる範囲
- 基礎の個数
- 通り芯と寸法
- 捨てコンクリートの厚さ
- 基礎外周からの張出し
- 基礎底レベル
- 砕石・防湿層との位置関係
独立基礎ごとに施工する場合は、基礎種類別の面積と個数を集計します。基礎梁の下まで連続して施工する場合は、重複部分を二重計上しないよう注意が必要です。
捨てコンクリートの数量確認をAIで効率化する方法
図面解析AIを活用すると、基礎伏図や基礎詳細図から、施工範囲、寸法、厚さなどを抽出し、数量拾いを支援できます。
図面から施工範囲と寸法を抽出する
- 基礎伏図
- 基礎詳細図
- 特記仕様書
- 基礎の外形
- 寸法・個数
- 厚さ・注記
- 施工面積
- コンクリート量
- 要確認箇所
たとえば、独立基礎ごとの捨てコンクリート範囲を認識し、基礎種類別の個数と面積を集計する処理が考えられます。
図面ごとの表記差は人が確認する
捨てコンクリートは、図面上で「捨CON」「捨てコン」「捨コンクリート」など、複数の表記が使用されます。
施工範囲も、ハッチング、破線、寸法線、詳細図の断面などで示されるため、AIが自動的に判断しにくい図面があります。
AIで面積や注記を抽出した後、人が図面と特記仕様書を確認して数量を確定する運用が現実的です。
捨てコンクリートに関するよくある質問
捨てコンクリートは建物の強度に含まれますか?
通常は構造体として設計されず、建物荷重を支える基礎の厚さには含めません。
主な役割は、墨出しや型枠・鉄筋施工のための平らな作業面をつくることです。
捨てコンクリートの厚さは何mmですか?
厚さは設計図書や特記仕様書を確認します。
国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、特記がない場合の標準を50mmとしています。
捨てコンクリートは省略できますか?
工法や設計図書によっては、全面施工しない場合があります。
ただし、現場判断だけで省略せず、墨出し、型枠固定、鉄筋支持などをどのように行うか確認する必要があります。
捨てコンクリートと防湿コンクリートは同じですか?
同じではありません。
捨てコンクリートは施工精度と作業性の確保、防湿コンクリートは床下からの湿気対策を主な目的とします。
まとめ
捨てコンクリートは、基礎の位置や高さを正確に管理し、鉄筋や型枠を施工しやすくするためのコンクリートです。
捨てコンクリートの確認ポイント
- 通常は構造体として設計されない
- 墨出しと作業面の確保が主な目的
- 厚さや範囲は設計図書を優先する
- 特記がない場合の標準厚さは50mm
- 厚さ・平たん性・仕上り高さを確認する
- 数量は施工面積と厚さから計算する
構造強度を直接負担する部材ではありませんが、捨てコンクリートの施工精度は、基礎の墨出し、配筋、型枠、アンカーボルトなどの後工程へ影響します。
基礎伏図、基礎詳細図、特記仕様書を照合し、指定された範囲・厚さ・高さを確認して施工することが重要です。
基礎図面の数量拾いをAIで効率化したい方へ
基礎伏図や詳細図からの寸法抽出、捨てコンクリート範囲の集計、図面間の照合など、現在の積算・図面確認業務へAIを活用できる範囲を整理します。


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