応力とは?種類・意味・単位を基礎から学ぶ建築入門

建築や機械工学において、構造物の安全性を確保するために不可欠な基礎概念が応力(Stress)です。

材料力学でいう応力(stress)は、断面に作用する単位面積当たりの内力で、PaやN/mm²などで表します。一方、建築の部材計算では軸力・せん断力・曲げモーメントなどの断面力を「応力」と呼ぶ文脈もあります。本記事では両者を単位とともに区別します。力のつり合いだけで、破壊しないことが保証されるわけではありません。

例えば、丸太(はり)に人が乗って荷重が作用した際、見た目には大きな変化が現れず静止しているのは、丸太の内部でこの荷重に抵抗する応力が発生しているためです。

本記事では、この重要な概念である「応力」の定義、種類、そして単位について、基礎からわかりやすく解説します。また、混同されやすい応力度との違いについても明確にします。

計算イメージ

1. 応力・応力度・断面力の使い分け

応力を理解する上で最も重要なのが、応力と応力度の違いです。

用語ここでの意味単位
応力・応力度(stress)単位面積当たりの内力Pa、N/mm²
軸力・せん断力断面全体に作用する力の合力N、kN
曲げモーメント断面内の力によるモーメントN·m、kN·m

「応力」の語だけで判断せず、σ・τのような単位面積当たりの量なのか、断面力なのかを確認してください。曲げモーメントも単なる力の単位では表せません。

本サイトのモールの応力円や材料力学の説明では、応力をstressの意味で用います。建築の応力図では断面力を示す場合があるため、記号・単位・定義を合わせて読みます。

軸方向の内力Pが断面積Aに一様に分布する場合、平均的な垂直応力はσ = P/Aです。曲げや応力集中がある場合の局所的な応力分布は、この式だけでは求まりません。

この公式から、断面積が小さくなると応力度が大きくなること、また、外力が大きくなると応力度も大きくなることがわかります。

2. 部材の代表的な断面力

ここでは、部材の代表的な断面力である軸力・せん断力・曲げモーメントを説明します。ねじりモーメントなどもあり、この3種類ですべてを表すわけではありません。

① 軸力(垂直応力)

軸力は部材の軸方向に作用する断面力で、断面に垂直な応力を面積にわたって合計した量です。垂直応力と軸力を同じ量として扱わないようにします。

これはさらに以下の2つに分けられます。

  • 圧縮力:はりを押し付ける力によって生じる。部材を押し縮める方向。
  • 引張力:はりの両端を引っ張る力によって発生する。部材を引っ張る方向。

② せん断力

せん断力とは、はりや物体を断ち切ろうとする力、つまり部材がずれ合うような応力です。

これは部材の断面に平行な方向に作用します。ハサミで紙を切ろうとするときに、ハサミの両刃が紙に作用する力がせん断力の例です。

③ 曲げモーメント

曲げモーメントは、荷重がはりをたわませ、湾曲形に変形させようとする力です。

これは単一の力ではなく、はりの内部で引張力と圧縮力が複合的(逆向き)に作用することで発生します。曲げモーメントは、これらの引張力・圧縮力による偶力のモーメントとして捉えられます。

補足: 曲げモーメントが作用すると、例えば上から荷重を受けた梁は下に凸に変形し、内部の上側には圧縮応力が、下側には引張応力が発生します。

3. 応力とモーメントの単位一覧

応力の種類と、その単位は以下の通りです。力の方向(正負値)の使い分けにも注意が必要です。

応力の種類単位正負値の区別
引張力kN、N正値
圧縮力kN、N負値
せん断力kN、N正負値
曲げモーメントkNm、Nm正負値

4. 応力とひずみ、フックの法則

応力は、部材の変形であるひずみと密接に関係しています。この関係を示すのがフックの法則です。

垂直応力(σ)と垂直ひずみ(ε)の関係は、ヤング率(E)を用いて以下の式で表されます。

σ = Eε

σ = Eεは、一軸の線形弾性の範囲で用いる関係です。降伏後や非線形な材料挙動に、そのまま適用できるわけではありません。

また、材料の安全性を評価するためには、許容応力と安全率が用いられます。安全率(S)は、材料の基準となる強さ(σs )を許容応力(σa )で割ったものです。

 S =σs /σa


応力(stress)は単位面積当たりの内力であり、軸力・せん断力・曲げモーメントなどの断面力とは区別します。建築では断面力を「応力」と呼ぶ文脈もあるため、単位の確認が重要です。

断面力や応力を求めたうえで、材料強度や変形などの設計条件と照合します。これらの量が発生しているだけで安全性が確保されるわけではありません。

σやτを使う場合はN/mm²等、軸力・せん断力はNやkN、曲げモーメントはN·mやkN·mです。モールの応力円では、面の向きを変えたときの応力成分を扱います。

これらの基礎概念を理解し、構造物の設計や安全性の評価に役立てましょう。

計算作業イメージ

参考:MIT OpenCourseWareの応力変換教材。

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