「施工管理の仕事って、結局どこまで担当するの?」「工程表や安全書類は作っているけど、全体像がつながらない」――そんな悩みはよくあります。施工管理は“現場の段取り役”という一言では片づけられず、工期・品質・安全・コスト・近隣対応まで横断して管理する仕事です。
本記事では、施工管理の業務内容を「工程・品質・安全・原価・環境」の5軸で具体的に分解し、「何を・いつ・なぜ行うか」を整理します。
はじめに:施工管理の概要
施工管理とは、工事を契約条件どおり(工期・品質・金額)に完成させるために、現場の活動を計画し、確認し、調整し、記録する業務です。現場では「5大管理」として整理されることが多く、これが施工管理の基本フレームになります。
- 工程管理:工期内に完了する段取りと進捗統制
- 品質管理:図面・仕様・基準を満たす出来形の確保
- 安全管理:事故・災害を防ぐ体制と運用
- 原価管理:発注・出来高・変更を整理し利益を守る
- 環境管理:近隣・廃棄物・騒音粉じん・排水への対応
これらは別々の業務に見えますが、現場では連鎖します。例えば、品質不良→是正→工程遅延→原価悪化のように一つの乱れが全体へ波及します。施工管理の価値は、現場を「回す」だけでなく「止めない」ことにあります。
本文①:工程管理・品質管理について
工程管理:工期を守るための「計画・調整・統制」
工程管理は「工程表作成」で終わりません。施工管理は、契約工期・検査日程・稼働制限などの条件を整理し、実行可能な順序に落とし込みます。重要なのは、理想ではなく制約を織り込んだ工程にすることです。
- 着工前〜初期(計画):契約工期、中間検査、搬入経路、作業ヤード、長納期品の手配時期を整理
- 工事中(調整):協力会社の乗り込み日・人数、資材納期、施工図/承認図の期限、立会い検査の予約を確定
- 工事中(統制):日々の進捗確認、予定差の原因整理、人員/作業順序の見直し、後工程・検査への波及防止
工程が崩れる原因は、作業の遅れだけではありません。現場では「手配・承認・検査の遅れ」がボトルネックになりやすく、施工管理は作業前の前提条件を工程の一部として管理します。
品質管理:基準に照らして「確認・検査・記録・是正」
品質管理は見た目の良し悪しではなく、根拠が必要です。施工管理は、設計図書(図面・仕様書)と施工基準・メーカー仕様・法令を前提に、合格条件(何を満たせばOKか)を明確にします。
- 施工前(基準確認):仕上表・詳細図・特記仕様の読み込み、材料の品番/性能/認定、取り合い(建築×設備等)の整理
- 施工中(施工確認):出来形(寸法・位置)や隠ぺい部(下地・配管等)を重点的に確認
- 検査(段取り):自主検査・監理者検査・施主検査・法定検査の準備、立会い調整、指摘事項の是正管理
- 記録(証跡):工事写真、検査記録、材料証明、認定書、保証書、取説の整理
品質管理で重要なのは「できている」だけでなく、できていると証明できる状態を残すことです。引渡し後の説明責任にも直結します。
本題②:安全管理・原価管理・環境管理について
安全管理:危険作業を前提に「体制・手順・是正・記録」を回す
安全管理は精神論ではなく、事故が起きない運用を設計して維持する業務です。施工管理は、高所・重機・吊り荷・火気・掘削・解体などの危険作業を洗い出し、必要な資格や手順、立入管理を整えます。
- 着工前(計画):安全計画、体制(責任者・協議体)、仮設(足場・開口養生・仮設電気・通路)の計画
- 工事中(運用):新規入場者教育、巡視、不安全状態の是正、危険作業の手順遵守確認
- 工事中(記録):巡視記録、是正履歴、KY・協議会記録、ヒヤリハットの蓄積
安全は「やっているつもり」ではなく、運用と証跡で成立します。施工管理はその運用責任を担います。
原価管理:発注・出来高・変更を「根拠化」して利益を守る
原価管理は、単に安くすることではありません。契約金額の範囲で工事を成立させ、利益を確保するために、施工管理はお金の根拠を揃えます。特にBtoBでは、口頭指示がトラブルの起点になりやすいため、記録と合意形成が重要です。
- 着工前(前提整理):実行予算(外注費・材料費・経費)の枠、契約条件、発注方針の確認
- 工事中(発注・出来高):範囲・数量・単価を明確にした発注、進捗に対する請求/支払いの整合確認
- 工事中(変更・追加):設計変更・追加工事・やり直しの拾い上げ、指示根拠(議事録・写真等)の整理
- 月次(集計・見直し):予算差異、増減要因、残工事費の見直し
原価管理は「現場の事実」→「根拠」→「金額合意」をつなぐ業務です。
環境管理:近隣・廃棄物・騒音粉じんを統制し、現場停止リスクを避ける
環境管理は、騒音・振動・粉じん・廃棄物・排水など、周辺への影響を抑え、法令・条例・発注者要件に適合させる業務です。対応が遅れると、クレーム→工事停止→工程・原価の悪化に直結します。
- 着工前(計画):分別区分、仮置き、搬出ルート、周知方法(案内文・掲示・窓口)を決定
- 工事中(運用):分別・保管、飛散防止、散水・清掃、排水対策をルール化して実施
- 工事中(記録):廃棄物伝票/マニフェスト、清掃・養生の写真、問い合わせ対応の履歴整理
環境対応は「配慮」ではなく、工事を継続するための条件です。施工管理はその条件を現場で守れる形に落とし込みます。
まとめ:施工管理=”契約条件を守るための横断的な管理”
施工管理は、工程や品質だけで完結する仕事ではありません。安全・原価・環境まで含めて現場運営を成立させ、契約条件どおりに工事を完成させる横断的な管理業務です。
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