はじめに
結論から言うと、ZEHは「住宅」向け、ZEBは「非住宅(ビル・施設)」向けの省エネ・創エネの考え方です。どちらも“エネルギー収支を限りなくゼロへ”という方向性は同じですが、対象・評価方法・求められる設備設計が異なるため、混同すると計画が遠回りになります。
「ZEHって聞くけど、ZEBと何が違い?」「自分の建物はどっちを目指すべき?」——そんな迷いはとても自然です。
この記事では、ZEB/ZEHの違いを“比較”しながら、初心者でも判断できるようにやさしく解説します。
この記事でわかること
・ ZEBとZEHの基本と「違い」
・ 目的・評価の考え方の「比較」ポイント
・ 自分の建物でどちらを選ぶべきかの判断軸
本文
ZEHとは?住宅の“省エネ+創エネ”をセットで考える基準
ZEH(ゼッチ)は、ざっくり言えば「住宅で使うエネルギーを減らし、太陽光などでつくって、年間の一次エネルギー消費を実質ゼロに近づける」考え方です。ポイントは、設備だけでなく断熱・気密といった建物性能(外皮)を先に整えること。外皮性能が弱いまま設備だけで頑張ると、快適性も光熱費も伸び悩みます。
ZEHは「住まいの快適性」と「光熱費の安定」を両立しやすいのが魅力です。特にこれからの電気代変動リスクを考えると、住まいの省エネは“コスト削減”だけでなく“家計の安定化”にもつながります。
補足導線(ZEHを深掘りしたい方へ)
ZEHの定義・基準の考え方や、検討時に気になる補助金の全体像は、別記事で整理しておくと理解が一気に進みます。
「まず何を満たせばZEHと言えるのか」を押さえてから読むと、今回の比較もスッと入ります。
👉 内部リンク:【解説】ZEHの概要を知識0から!補助金や基準を…
ZEBとは?オフィス・施設など非住宅の“ビル省エネ”の到達点
ZEB(ゼブ)は、オフィス・学校・病院・商業施設などの非住宅建築物で、年間の一次エネルギー消費を大幅に削減し、可能なら創エネも組み合わせて“実質ゼロ”を目指す枠組みです。住宅よりも用途が多様で、設備負荷(空調・換気・照明・給湯など)が大きくなりがちなので、設計の考え方もより“運用込み”になります。
さらにZEBは、到達度に応じて段階(レベル)が語られることが多く、プロジェクト要件に合わせて「現実的な落としどころ」を選びやすいのが特徴です。つまり、ZEBは単なる理想論ではなく、段階的に省エネを積み上げていく“計画手法”としても使えるわけです。
補足導線(ZEBの種類を整理したい方へ)
ZEBは「ZEB」「Nearly ZEB」など種類ごとの到達レベルを押さえると、打ち手(断熱・設備・運用)の優先順位が見えます。
どのレベルを狙うと費用対効果が出やすいかも理解しやすくなるので、検討初期に読むのがおすすめです。
👉 内部リンク:『ZEBの基礎』種類別の到達レベルとメリット…
ZEBとZEHの違いを一気に比較(対象・考え方・設計のクセ)
ここからが本題です。ZEBとZEHの違いは「住宅か非住宅か」だけではありません。実務では、評価の軸と設計・運用の難しさがズレることで、コストやスケジュールにも影響します。
まずは全体像を、シンプルに比較して押さえましょう。
| 比較項目 | ZEH | ZEB |
|---|---|---|
| 主な対象 | 住宅(戸建・集合) | 非住宅(オフィス・学校・病院など) |
| 省エネの考え方 | 外皮(断熱)+高効率設備+創エネ | 建物性能+設備+制御+運用(BEMS等)まで含めやすい |
| 設計の難所 | 断熱・日射対策と設備バランス | 用途・稼働条件の整理、設備・制御の最適化 |
| 効果の出方 | 光熱費・快適性に直結しやすい | エネルギー管理と運用改善で伸びしろが大きい |
| よくある誤解 | 太陽光を載せればOK | 高性能設備だけ入れればOK |
ZEHは「暮らしの器(外皮)」を整えるのが王道。
一方でZEBは「運用を含めた設計・管理」で差が出る。
ここを押さえるだけで、検討の迷いがかなり減ります。
どっちを目指す?判断は“建物用途”と“ゴールの置き方”で決める

基本はシンプルで、住宅ならZEH、非住宅ならZEBが大枠の答えです。ただし現場では、「住宅だけど事務所併用」「店舗兼用住宅」「小規模事業所」など、境界がにじむケースもあります。そんなときは、次の順番で考えるとブレにくいです。
まず、建物の“主用途”を固めます。主用途が住まいなら、断熱・日射・換気計画を軸にZEHの思考で進めるほうが、快適性の失敗が起きにくい。
次に、エネルギーの“管理可能性”を見ます。営業時間・稼働率・利用者数などが整理でき、設備制御やモニタリングで改善が回せるなら、ZEBの考え方が活きます。
最後に、投資回収の考え方です。ZEHは家計の固定費削減として見えやすい一方、ZEBは運用・テナント条件・設備更新計画まで絡むので、設計段階から“運用の絵”を描けるかが重要になります。
よくある勘違い:太陽光さえ載せればZEB/ZEH?
ZEB/ZEHの比較で最も多い誤解が、「太陽光(創エネ)を載せればそれっぽくなる」という発想です。もちろん創エネは大切ですが、省エネが弱いまま創エネで帳尻合わせをすると、設備容量が過大になり、初期費用も更新費も増えやすくなります。
だからこそ順番は、基本的に
(1)負荷を減らす(断熱・日射・照明・制御)→(2)効率を上げる(高効率設備)→(3)つくる(創エネ)
という流れが王道です。ここはZEBでもZEHでも共通の“勝ち筋”と言えます。
まとめ
ZEBとZEHの違いは、ひと言で言えば「住宅か非住宅か」ですが、実務的には評価の考え方と設計の進め方が違うのが重要ポイントです。
ZEHは、断熱などの外皮性能を土台にして、設備と創エネを積み上げることで、快適性と光熱費の安定につながりやすい。ZEBは、用途や稼働条件を整理し、設備・制御・運用まで含めて最適化することで、大きな省エネ余地を引き出しやすい——この比較軸を持つだけで判断がブレにくくなります。
次の一歩として、まずはあなたの計画に近い方から理解を深めるのが近道です。
住宅ならZEHの全体像を、非住宅ならZEBの種類と到達レベルを押さえておくと、検討が一気に進みます(本文中の内部リンク記事もぜひ活用してください)。


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