建築基準法第2条第13号を解説|「建築」の定義と増築・改築の違いとは?
はじめに
建築プロジェクトを計画する際、最初に向き合うことになるのが「用語の定義」です。私たちが日常的に使う「建築する」という言葉ですが、法律の世界ではその範囲が厳密に定められています。結論から申し上げますと、建築基準法における「建築」とは、「新築」「増築」「改築」「移転」の4つの行為を指します。
「古い家を壊して建て直すのは改築?それとも新築?」「建物をそのまま横に動かすのは建築に含まれるの?」といった疑問は、実務者でも混同しやすいポイントです。この記事では、建築基準法第2条第13号に基づき、これら4つの定義の違いと、実務上の注意点を詳しく解説します。
建築基準法第2条第13号の条文全文
まずは、全ての基本となる条文を確認しましょう。建築基準法第2条(用語の定義)の第13号には、以下のように記されています。
建築基準法第2条第13号
建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。
非常に短い一文ですが、ここに「建築」という行為の全容が凝縮されています。この「新築・増築・改築・移転」の4つ以外は、法的には「建築」には該当しないという点が、法解釈のスタート地点となります。
「建築」に含まれる4つの行為と専門用語の定義
条文に挙げられた4つの言葉について、それぞれの定義を掘り下げていきましょう。
1. 新築(しんちく)

更地に新しく建物を建てることや、既存の建物を全て取り壊した後に全く新しい建物を建てることを指します。最も一般的な「建築」のイメージに近いものです。
2. 増築(ぞうちく)
既存の建築物がある敷地内で、建築物の床面積を増やすことを指します。平屋を2階建てにする、既存棟に別の棟を継ぎ足す、あるいは離れを建てる行為もすべて「増築」に該当します。
3. 改築(かいちく)

建築物の一部または全部を取り壊し、それと位置・用途・構造・規模・階数が著しく異ならないものを再度建てることを指します。火災などで滅失した後に再建する場合も含まれますが、規模が大幅に大きくなる場合は「増築」や「新築」として扱われることがあります。
4. 移転(いてん)
同一敷地内で、建築物を解体せずにそのまま別の位置へ移動させることを指します(いわゆる「曳家(ひきや)」など)。「場所が変わるだけ」と思われがちですが、法的には立派な「建築行為」の一つです。
こうした定義の細かな違いを把握することは、現場でのトラブル回避に直結します。
具体例と例外:これは「建築」にあたるのか?
実務では、判断に迷うグレーゾーンが存在します。
- 大規模なリフォーム(模様替え)との違い:
壁紙を張り替えたり、キッチンを交換したりする「リフォーム」は、床面積が増えず、構造体の大規模な作り替えを伴わない限り、第2条第13号の「建築」にはあたりません。 - 確認申請が必要な例外:
10㎡以内の増築であれば、防火地域・準防火地域を除き、建築確認申請が不要となる特例がありますが、「建築行為」であることに変わりはないため、基準法への適合は必須です。
構造の健全性を維持するためには、法的な定義だけでなく物理的な劣化診断も欠かせません。
建築確認申請との関係と重要性
なぜこれほど厳密に用語が定義されているのか。それは、その行為が「建築確認申請」を必要とするかどうかの判断基準になるからです。
新築はもちろん、増築や改築、移転を行う場合には、原則として建築主事や指定確認検査機関による事前審査(確認申請)を受けなければなりません。この手続きを怠ると、いわゆる「違反建築物」となり、将来の売却が困難になったり、是正勧告を受けたりするリスクが生じます。
特に屋根の形状を変えるような改築を行う場合は、構造計算のやり直しが必要になるケースもあります。
まとめ
建築基準法第2条第13号における「建築」の定義は、「新築・増築・改築・移転」の4つに集約されます。
- 新築:更地に新しく建てる
- 増築:床面積を増やす
- 改築:ほぼ同規模で建て直す
- 移転:同一敷地内で移動させる
これらの違いを正しく理解することは、適切な確認申請の手続きを行い、法的に健全な建物を維持するために不可欠です。計画中の工事がどの定義に該当するのかを正確に把握し、必要な法的手続きを確実に行いましょう。
用語の定義に迷った際は、この第2条第13号に立ち返る癖をつけることが、建築のプロフェッショナルへの第一歩となります。


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