【建築基準法第21条】大規模木造建築の耐火構造のルールとは?「通常火災終了時間」や例外規定を解説!

【建築基準法第21条】大規模木造建築の耐火構造のルールとは?「通常火災終了時間」や例外規定を解説!

目次

1. はじめに:木造で大きな建物を建てるための「火災対策」の法律

近年、環境への配慮から「大きな建物を木造で建てたい」というニーズが急増しています。しかし、木材はコンクリートや鉄と違って「燃えやすい」という弱点があります。

もし、巨大な木造ビルで火災が起き、すぐに倒壊してしまったら、中にいる人は逃げ遅れ、周囲の建物にも燃え移る大惨事になってしまいます。

そこで建築基準法第21条では、「一定規模以上の大きな建物を木造(可燃材料)で建てるなら、火災が起きても倒壊したり、周りに火を撒き散らしたりしない特別な構造にしなさい」という厳格なルールを定めています。これから大規模な木造建築を計画するなら、絶対に避けては通れない条文です。


2. 建築基準法第21条の条文全文

まずは、法律の原文を確認しましょう。大きく分けて3つの項で構成されています。

(大規模の建築物の主要構造部等)

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その特定主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために特定主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。

一 地階を除く階数が四以上である建築物

二 高さが十六メートルを超える建築物

三 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供する特殊建築物で、高さが十三メートルを超えるもの

 延べ面積が三千平方メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その壁、柱、床その他の建築物の部分又は防火戸その他の政令で定める防火設備を通常の火災時における火熱が当該建築物の周囲に防火上有害な影響を及ぼすことを防止するためにこれらに必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

 前二項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、これらの規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。


3. 条文を「超訳」すると?(火災に関する建築物の重要ルール)

少し難解な条文ですが、要約すると以下の3つのルールに分けられます。

第1項:背の高い木造建物のルール(「耐火構造」レベルの要求)

「4階建て以上」「高さ16m超」「高さ13m超の倉庫や車庫など」を木造で建てる場合、火事が起きても、火が完全に消し止められるまでの間は「絶対に倒壊しない構造(国のお墨付きを得たもの)」にしなさい。

第2項:横に広い巨大な木造建物のルール(「準耐火構造」レベルの要求)

「延べ面積が3,000㎡を超える」巨大な建物を木造で建てる場合、火事の猛烈な熱で近所の建物を燃やさないよう、外壁や窓を強化して周囲を守る構造にしなさい。

第3項:建物を分割するルール(面積のカウント)

巨大な建物でも、間に「完全に火を遮る壁(防火壁など)」を作って区切れば、それぞれを「別の小さな建物」として扱ってよい。

耐火構造、準耐火構造についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています!


4. 専門用語と重要キーワードの解説(通常火災終了時間とは?)

実務で必ず飛び交う重要な専門用語を解説します。

① 主要構造部(しゅようこうぞうぶ)と「床、屋根及び階段を除く」

主要構造部とは、建物の骨組みとなる「壁、柱、床、梁、屋根、階段」のことです。

ただし、この第21条ではカッコ書きで「(床、屋根及び階段を除く)」とされています。つまり、この条文が最も厳しく規制しているのは、火災時に建物の倒壊に直結する「柱」と「梁」、そして「建物を支える壁」です。

② 通常火災終了時間(つうじょうかさいしゅうりょうじかん)

火災が発生してから、消防車が駆けつけて消火活動を行い、完全に火が消えるまでにかかる時間のことです。建物の規模や用途によって「45分」「60分」「75分」などと細かく設定されており、この時間は最低限、柱や梁が燃え尽きずに建物を支え続ける性能が求められます。

③ 国土交通大臣の認定を受けたもの

木材をそのまま使うと当然燃えてしまいます。そのため、大規模木造建築では「石膏ボードで何重にも包んで火から守る工法」や、「表面は燃えて炭になるが、中心の木材までは火が届かないように分厚く設計する工法(燃え止まり型)」など、国が「これなら火事に耐えられる」と認可した特殊な材料や工法を使用しなければなりません。


5. 具体例:第21条が適用されるケース・されないケース

建物の種類・規模第21条の該当・非該当必要な対応
一般的な木造2階建て住宅
(高さ8m、延べ面積120㎡)
該当しない第21条の厳しい制限は受けません。(※ただし22条地域や防火地域のルールは別途受けます)
木造4階建てのオフィスビル
(高さ14m)
第1項第1号に該当階数が4以上のため、火災終了まで倒壊しない「大臣認定の木造耐火構造材(柱・梁)」などにする必要があります。
郊外の大型木造ホームセンター
(平屋、延べ面積4,000㎡)
第2項に該当3,000㎡を超えるため、周囲に熱を及ぼさないよう、外壁や窓を厳重な防火仕様にする必要があります。

6. 例外規定(厳しいルールが免除される条件)

第21条には、設計の自由度を上げるための重要な「例外」が2つ用意されています。

例外1:周囲に広大な空き地がある場合(第1項ただし書き)

「その周囲に延焼防止上有効な空地(中略)を有する建築物については、この限りでない。」

例えば、建物の周りが海や川、非常に広い公園などで囲まれており、「仮にこの木造ビルが激しく燃えて倒壊したとしても、絶対に周囲の建物に火が移らない」と証明できる場合は、第1項の厳しい倒壊防止ルールの適用から外れることができます。

「延焼のおそれのある部分」についてはこちらの記事で詳しく解説しています!

例外2:防火壁で区画を分割する場合(第3項)

延べ面積5,000㎡の巨大な木造倉庫を建てたい場合、そのままでは第2項の規制(3,000㎡超)を受けます。しかし、建物の真ん中に火災を完全に遮断する「防火壁」を設け、2,500㎡ずつに分割すれば、法律上は「2,500㎡の建物が2つ並んでいる」とみなされ、第2項の厳しい規制を回避することができます。


7. 建築確認申請との関係

大規模な木造建築物を建てる場合、この第21条をいかにクリアするかが、建築確認申請における最大の山場となります。

確認申請の図面には、「どの柱や梁に、国土交通大臣認定番号第〇〇号の耐火構造材を使用しているか」を詳細に明記し、その認定書の写しなどを添付する必要があります。「燃え止まり設計」などの高度な構造や防耐火性能を審査機関に証明できなければ、建築許可(確認済証)は絶対に下りません。

意匠設計(デザイン)、構造設計、そして防耐火設計が密接に絡み合うため、プロジェクトの初期段階から第21条を意識したプランニングを行うことが不可欠です。

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