設計図と施工図は何が違う?それぞれの役割と設計図書の内容を詳しく解説!

建築の現場で必ず耳にする「設計図書」と「施工図」ですが、その決定的な違いや、それぞれを「誰が書くのか」という責任の所在を正しく理解できているでしょうか。これらは建物を建てるという目的は同じでも、役割や作成されるフェーズが明確に分かれており、混同すると現場でのトラブルに直結します。

📋 この記事でわかること

  • 設計図書と施工図の定義および実務上の決定的な違い
  • それぞれの図面を作成する担当者と、作成が必要なタイミング
  • 現場での「納まり」を解決するために施工図が果たす重要性
目次

1. 設計図書と施工図の定義と役割の違いとは?

設計図書と施工図は、建物を建てるプロセスの「上流」と「下流」の関係にあります。まずは、それぞれの図面が何を目的としているのか、その定義を明確にしましょう。

設計図書の概要

建築主の意図と全体像を示すマスタープラン

設計図書とは、建築主(発注者)の要望に基づき、建物の意匠、構造、設備などの基本方針を定めたものです。これには、平面図や立面図だけでなく、仕様書や構造計算書、現場説明書なども含まれます。設計図と言われることもあります。

主な役割は、建築主と施工者の間で交わされる「工事請負契約」や、役所への「建築確認申請」の根拠となることです。いわば、建物の(完成予想図と基本性能)を約束する書類です。

ポイント② 誰が書くのか?「設計者」の責任

設計図書を作成するのは、主に建築士事務所の設計者です。設計者は、法令に適合しているか、予算内で要望が満たされているかを検討し、図面を作成します。

施工者はこの設計図書をバイブルとして工事を進めますが、これだけでは現場の細かい「納まり」までは解決できないケースがほとんどです。例えば柱の細かい位置関係などは設計図書だけでは判断が難しいです。

施工図の概要

現場で職人が迷わず作るための「指南書」

施工図は、設計図書の内容を具現化するために、現場での具体的な作り方を詳細に描いた図面です。簡単に言えば、施工者が工事を実際にできるまで詳しく書かれた図面と言えます。

設計図書では 1/1001/50 の縮尺が一般的ですが、施工図では 1/301/10 、時には 1/1 (現寸)で描かれます。コンクリートの打継ぎ位置や、配管と梁の干渉、タイルの割り付けなど、施工に直結する情報を盛り込みます。

誰が書くのか?「施工者」の現場力

施工図を作成するのは、ゼネコンや工務店の工事施工者(現場監督やCADオペレーター)です。施工図は「納まり」の検討資料でもあるため、各専門工事業者と調整を重ね、不具合がないことを確認した上で作成されます。最終的には設計者の「承認」を得ることで、現場の正本となります。

2. 設計図書と施工図の比較表:誰が書くのか・目的の把握

設計図書と施工図の違いを比較表にまとめました。実務において、どちらの図面を優先すべきか、誰に確認すべきかの判断基準として活用してください。

比較項目設計図書施工図
作成者設計者(建築士)施工者(現場管理・業者)
目的確認申請・契約・見積り現場施工・製作・納まり検討
縮尺1/50、1/100(全体把握)1/10、1/30、現寸(詳細把握)
記載内容意匠、構造、設備、仕様の概略詳細寸法、材料配置、施工順序

⚠️ 注意:優先順位の考え方
原則として、設計図書と施工図に齟齬がある場合は設計図書が優先されます。しかし、施工図は設計者の承認を得ているため、現場では施工図が「最終合意された図面」となります。矛盾を見つけた場合は、速やかに (質疑応答書) を通じて明確にする必要があります。

3. 施工図作成の具体的なステップと誰が担当するかの実務フロー

高品質な施工を実現するためには、設計図書から施工図へ情報を翻訳するプロセスが重要です。その標準的なステップを確認しましょう。

施工図を完成させるまでのプロセス

ポイント① 総合図の作成と干渉チェック

施工図を作成する際、まずは意匠・構造・設備の各設計図を重ね合わせた 「総合図」 を作成します。ここで、梁と配管がぶつかっていないか、建具の開閉に支障がないかなどの 干渉チェック を徹底的に行います。この段階で問題を潰しておくことが、現場での手戻りを 0 に近づける秘訣です。

ポイント② 専門業者との連携と設計承認

施工管理技士は、躯体図、平面詳細図、タイル割付図などの施工図を 1枚 ずつ作成(または外注管理)します。その後、設計者に提出して、設計意図と乖離がないかチェックを受けます。設計者の承認印をもらって初めて、現場で職人に配布できる図面となります。

  1. 設計図書の精読
    設計意図と仕様を正確に把握する。
  2. 関連業者との調整
    納まりや取り合いの不整合を解決する。
  3. 図面作成(施工図)
    現場で使える詳細な情報を描き込む。
  4. 設計者承認
    設計者のチェックを受け、施工の正本とする。

4. まとめ

設計図書と施工図は、建物を成立させるための車の両輪のような存在です。それぞれの役割と「誰が書くべきか」を理解することは、円滑な現場運営に欠かせません。

  • 設計図書は「建築主の要望」を定めた基本の指針であり、作成者は設計者である
  • 施工図は「現場での作り方」を詳細に示した指南書であり、作成者は施工者である
  • 設計図書は契約や申請に使い、施工図は現場の作業員へ指示を出すために使う
  • 施工図の精度が高ければ高いほど、工期短縮とコスト削減(手戻り防止)が実現できる

設計図書の意図を深く読み込み、それを高品質な施工図へと昇華させることが、建設技術者に求められる本質的なスキルと言えます。

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