断熱材の種類・性能・値段・メーカーまでやさしく整理|後悔しない選び方

目次

概要:断熱材選びで失敗しないためには

家づくりやリフォームで「断熱材」を選ぶとき、つい「どの種類が1番か?」という発想になりがちです。
しかし実際は、断熱材の“種類”だけで快適性は決まりません

断熱性能(数値)と施工品質を考えて、予算(値段)や入手しやすいメーカー体制まで擦り合わせることが最適な選択への近道です。

結論:
断熱材は「素材のスペック」よりも、狙った性能を出せる設計・施工と、
現場で扱いやすい製品選定が効きます。この記事では、代表的な断熱材の種類と性能の見方、
値段の考え方、メーカー選びのコツまをまとめます。

なお、断熱材の「値段」は、材料単価だけでなく、施工方法(充填・外張り・吹込み)、厚み、形状(ボード・マット・フォーム)、
そして職人手間で大きく変わります。本記事では相対的なコスト感と、見積もりでチェックすべきポイントに重点を置きます。

本文(第1部):断熱材の種類と特徴

断熱材は大きく分けると、繊維系発泡プラスチック系、そして高性能な特殊系があります。
それぞれ得意・不得意があり、単純に「性能が高いから正解」とは限りません。
それでは、それぞれの特徴について解説していきます。

繊維系(グラスウール/ロックウール/セルロースファイバー)

繊維系は、壁の中にすき間なく入れて性能を出すタイプです。住宅でよく使われるのは
グラスウール(ガラス繊維)とロックウール(岩綿)、そして新聞古紙を原料にしたセルロースファイバーです。

繊維系の強みは、コストと扱いやすさのバランス
一方で、施工でたるみ・欠損・圧縮があると、設計通りの断熱性能が出にくくなります。
「断熱材の種類」だけでなく、施工精度が出る納まりかどうかもセットで考えると安心です。

ポイント:
繊維系は「入れ方」で性能が決まりやすい素材です。断熱材そのものの性能値だけで比較せず、
気密層の連続防湿層の設計、コンセント周りなどの“弱点での作り方”も確認しましょう。

発泡プラスチック系(EPS/XPS/ウレタン/フェノールフォーム)

発泡系は、空気を含んだ泡の構造で熱の移動を抑えます。代表例として
EPS(ビーズ法ポリスチレン)、XPS(押出法ポリスチレン)、
硬質ウレタンフォームフェノールフォームが挙げられます。

発泡系は熱伝導率が低い=薄くても断熱性能を確保しやすい傾向があり、外張り断熱や床下・基礎周りにも使われます。
一方で、製品ごとに耐熱・耐火、透湿(湿気の通しやすさ)、経年での性能変化などが違うため、
“同じ発泡系”として一括りにしないことが重要です。

特殊系(真空断熱材など)

真空断熱材(VIP)は、非常に高い断熱性能を狙える反面、取り扱いの難しさコスト
施工時の損傷リスクなどの注意点があります。
「薄くしたい」「断熱欠損が出やすい部位に限定したい」など、目的が明確なときに検討すると効果的です。

主要な断熱材の比較表(性能・値段の目安)

断熱材の種類 性能の傾向(熱伝導率λの目安) 施工のクセ 値段感(相対)
グラスウール 中(例:0.033〜0.045 W/mKあたり) 充填の精度が重要。欠損・圧縮で性能低下 低〜中
ロックウール 中(例:0.038〜0.047 W/mKあたり) 繊維系。同様に納まりと防湿設計がカギ 低〜中
セルロースファイバー 中(例:0.040 W/mKあたり) 吹込み施工が前提。施工店の品質差が出やすい
EPS(発泡スチロール系) 中(例:0.034〜0.040 W/mKあたり) ボードで管理しやすい。ジョイント処理が重要 低〜中
XPS 中〜高(例:0.024〜0.040 W/mKあたり) 基礎・床周りでも使われやすい。火気周りは注意
硬質ウレタンフォーム 高(例:0.024〜0.030 W/mKあたり) 現場発泡は技能差が出る。厚み管理が重要 中〜高
フェノールフォーム 高(例:0.020〜0.022 W/mKあたり) 薄く高性能を狙いやすい。納まりの検討が必要
真空断熱材(VIP) 非常に高(例:0.004〜0.008 W/mKあたり) 損傷厳禁。限定用途向き 非常に高


※数値は製品・厚み・等級で幅があり、ここでは“種類ごとの傾向”を掴むための目安です。実際はメーカー仕様書の性能値で確認してください。

本文②:性能・値段・メーカーの見方と選び方

断熱材の「性能」は何を見ればいい?(λ・R・UA)

断熱材の性能を語るときに頻出するのが、熱伝導率(λ)です。
ざっくり言えば、小さいほど熱を通しにくい指標。
ただし、家全体の快適性は断熱材単体のλだけでなく、厚みや面積、窓、換気、そして施工の“すき間”まで含めて決まります。

そこで押さえたいのが、厚みを含めた断熱性能(熱抵抗R)と、
住宅全体で評価するUA値(外皮平均熱貫流率)の考え方です。
断熱材の種類を比べるときは、「λが低い」=万能ではなく、
必要なRを確保できる厚みと納まりが成立するかを見てください。

ポイント:
同じ断熱材でも、厚み施工精度で体感は変わります。
「高性能な断熱材を薄く」より、「標準グレードでも確実に施工」したほうが結果的に良いケースも少なくありません。

断熱材の「値段」はどこで差がつく?

断熱材の値段を比較するとき、材料単価だけに目がいくと判断を誤りやすいです。
なぜなら断熱工事は、材料+施工手間+副資材(気密テープ、気流止め等)で成り立ち、
さらに現場条件で手間が増減するからです。

例えば、吹込み系(セルロースファイバー等)は施工機材と技能が必要で、材料だけ見れば高く感じることがあります。
逆にボード系は材料の単価はやや上がっても、納まりがシンプルなら施工時間が短くなる場合もあります。
値段=総額で考えるのが大前提です。
見積もり比較では、以下の4点を確認してみてください。

見積もりで確認したい4点
① 断熱材の種類と等級(製品名・密度・グレードが明記されているか)
② 厚みと施工範囲(壁・天井・床・基礎のどこまで含むか)
③ 気密・防湿・防風の仕様(気流止めやテープ処理の方針)
④ 断熱欠損リスクへの対策(配線・配管・開口周りの納まり)

メーカー選びは「製品」より「供給と施工体制」で決める

断熱材メーカーは多く、製品ラインナップも豊富です。
そのため、”その地域で安定して手に入るか””施工店が慣れているか”が鍵ととなります。
同じ性能クラスでも、納期が読めない・取り扱いが少ない製品の場合、現場で別商品に置き換わるなどのブレが起きやすくなります。

ここでは「代表例」として、住宅で名前が挙がりやすいメーカー・ブランドを挙げます。

メーカー例
・グラスウール系:旭ファイバーグラス、パラマウント硝子工業 など
・ロックウール系:JFEロックファイバー など
・XPS/EPS系:デュポン・スタイロ(スタイロフォーム)、カネカ(カネライトフォーム)など
・フェノールフォーム系:旭化成建材(ネオマフォーム)など
・現場発泡ウレタン系:日本アクア(アクアフォーム) など

メーカー名で“優劣”を決めるよりも、仕様書が明確で施工要領が整っているかどうか、
そしてあなたの依頼先がその断熱材を普段から扱っているかどうか。
これらが結果的に性能(UA値の実現)と値段(手戻りの少なさ)に直結します。

避けるべきケース:断熱材の性能を“カタログだけ”で追う

断熱材の種類や性能値を比較し始めると、つい「λが最小の材料を選べば勝ち」と考えがちです。
しかし実務では、すき間・欠損・結露が起きた時点で、数値の優位は簡単に崩れます。

したがって、断熱材選びは次の順番がおすすめです。
①目標性能(UA値など)→②納まりと施工の確実性→③断熱材の種類→④メーカーと流通→⑤値段
この順で検討すると、仕様がブレにくく、総額もコントロールしやすくなります。

まとめ:最適な断熱材を選ぶために

断熱材は「種類・性能・値段・メーカー」のどれか1つで決めるものではなく、家全体の設計と施工の中で最適解が変わります。
したがって、次の順番で考えていくことをおすすめします。

選択フロー:
①家として達成したい断熱性能(UA値など)を決定。

②その性能を出せる納まり(すき間が出にくい構造・気密の作り方)を確認。
③断熱材の種類を「施工精度が出るもの」に絞る。

④メーカーの供給や施工体制、値段(総額・手間込み)を考慮して選択。

「断熱材の性能を上げたい」「値段は抑えたい」「信頼できるメーカー品がいい」――この3つは両立できます。
そのためには、“種類の比較”よりも“性能が出る設計と施工”を考えることが重要です。
断熱材選びに迷った際は、この記事の比較表をもとに、最終的にはメーカーの仕様書施工要領まで確認してみてください。

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