ものづくり補助金とは?採択率・対象経費・申請代行まで実務者向けに徹底解説

ものづくり補助金は、中小企業の設備投資を後押しする国の補助金です。対象経費・採択率・申請代行の基本を、最新要領の読み方と合わせて解説します。

とはいえ、採択されたらすぐ入金される制度ではなく、手続きの順番や「対象外になりやすい経費」があります。そこで本記事では、現場で迷いがちなポイントを、建設業を含む実務目線で整理します。

📋 この記事でわかること

  • ものづくり補助金の定義と、支援対象になる事業の考え方
  • 対象経費・補助上限・補助率の整理と、実務で落とし穴になりやすい条件
  • 採択率の読み方と、申請代行(支援)の上手な使い分け

1. ものづくり補助金の定義(公的な位置づけ)

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、通称として「ものづくり補助金」と呼ばれます。中小企業の生産性向上につながる投資を、補助金で部分的に支援する制度です。

公式の定義を、やさしく言い換えると

ポイント① 制度が支援するのは「設備投資を伴う事業」

公募要領では、革新的な新製品・新サービスの開発や海外需要開拓などに必要な設備投資等の経費を補助する、と整理されています。つまり「機械やシステムを入れて、売り方や作り方を一段上げる取り組み」が中心です。

ポイント② “更新”だけではなく「新しい価値」を求められる

単なる老朽更新や増設ではなく、顧客に新しい価値を提供できるかが問われます。例えば建設業でも、プレカットの高度化、施工の省力化、検査の精度向上など、事業の変化が説明できると整理しやすいです。

対象になりやすい事業者・業種のイメージ

原則は中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が対象で、製造業だけに限りません。建材・設備の加工、内装・外構、点検・保全、設計支援など、商業・サービス業でも「投資→成果」が描ければ十分に検討できます。

ただし、同業他社で既に広く普及している取り組みは「革新的」と言いづらいことがあります。新規性(社内の新しさではなく、市場・地域での新しさ)を、早い段階で言語化しておくのがコツです。

2. ものづくり補助金の背景・目的

この制度の狙いは、設備投資をきっかけに生産性向上賃上げを後押しし、地域経済を元気にすることです。言い換えると、「投資を伴う成長」を国が優先して支援している、ということになります。

政策のキーワードは「生産性」と「持続的な賃上げ」

ポイント① 3〜5年の事業計画で、成長のストーリーを示す

申請では事業計画(一般に3〜5年)を作り、成果指標を示します。現場感のある計画(設備の仕様、工程、要員、販売先、収益の根拠)ほど、審査目線でも読みやすくなります。

ポイント② “補助金ありき”ではなく、設備投資の必要性が問われる

採択後の交付申請・検査も含めて、設備の必要性や価格の妥当性が見られます。つまり、計画書は「審査用の作文」ではなく、社内稟議に耐える投資説明書として作るのが安全です。

⚠️ 既存の製品・サービスの生産プロセス改善だけの事業は、枠によっては補助対象外になり得ます。

公募要領では、枠の趣旨に合わない事業は不採択になり得ると明記されています。現場の改善投資を考える場合は、「新製品・新サービス」側で説明できるか、早めに確認しましょう。

3. ものづくり補助金の具体的な内容(対象経費・補助率・採択率)

ここでは「結局いくら出るのか」「何に使えるのか」「採択率はどの程度か」を、実務で使える形に整理します。公募回で細部が変わるため、数字は“目安の枠組み”として押さえてください。

申請枠と補助上限・補助率の全体像

代表的な申請枠は、製品・サービス高付加価値化枠グローバル枠です。

区分 補助上限の目安 補助率の目安
高付加価値化枠 従業員規模で750万〜2,500万円(下限100万円) 中小企業:1/2
小規模等:2/3
グローバル枠 上限3,000万円(下限100万円) 中小企業:1/2
小規模等:2/3

加えて、賃上げや最低賃金引上げなどに関する特例で、上限や補助率が上がるケースもあります。まずは「自社が通常枠で何を狙うか」を固めたうえで、特例の上乗せを検討すると整理しやすいです。

対象経費の考え方(何に使える/使えない)

対象経費の中心は、機械装置・システム構築費です。ここが“必須”になっており、関連する経費を組み合わせて事業計画を組み立てます。

費目 例(建設・製造の現場で多いもの) 注意点
機械装置・システム構築費 加工機、測定・検査機、専用ソフト、情報システム構築 単価50万円(税抜)以上が必須
専門家経費 工程設計、品質管理、BIM活用設計の助言など 役務範囲と成果物を明確に
外注費 加工・設計・検査の一部委託 上限や禁止条件がある
クラウド利用費 業務システムのクラウド利用(事業用途) 期間按分・契約条件に注意
知的財産権等関連 特許・意匠等の出願関連 事業との関連性が鍵
⚠️ 交付決定前に発注・契約・購入した経費は、原則として補助対象外です。

さらに、支払いは原則として銀行振込で実績確認され、現金払いやクレジットカード払いは不可とされる場面があります。見積書の取得や複数見積も含め、「手続きの順番」を守れる体制を先に作るのが安全です。

また、機械装置・システム構築費以外の経費は、合計で上限が設けられる場合があります。特に、周辺経費を厚く積みすぎると組み替えが必要になりやすいので、計画段階で配分バランスを確認しましょう。

採択率の見方

採択率は、採択者数÷申請者数で目安が出ます。たとえば直近の公表では、21次は申請1,872件・採択638件で、概算約34%です(公募回により上下します)。

ここで大事なのは、数字だけで判断しないことです。採択率が高い回でも「計画が薄い」「投資の必要性が弱い」場合は落ちますし、逆に低い回でも、筋の良い計画は通ります。

申請方法(jGrants)と、手続きの流れ

申請は電子申請(jGrants)で行うのが基本です。準備の山場は、GビズIDの取得、事業計画の組み立て、見積・仕様の整理の3点に集約されます。

  1. 公募要領を確認
    枠・上限・対象経費・提出物を先にチェックし、要件の“落とし穴”を潰します。
  2. GビズIDの取得・権限整理
    社内で申請担当を決め、アカウントや委任範囲(誰が入力・誰が最終確認するか)を整えます。
  3. 事業計画(3〜5年)を作成
    課題→解決策→投資→成果指標の順に、数字と根拠を置いていきます。
  4. 見積・仕様書を準備
    金額の妥当性を説明できるよう、同一条件の見積なども意識して揃えます。
  5. 電子申請→審査→採択
    採択後も手続きが続く前提で、すぐに交付申請に移れる段取りを組みます。
  6. 交付決定後に発注→実績報告
    順番を守って発注・支払いを行い、実績報告と検査を経て補助金が確定します。

なお、採択後の交付申請は、採択発表日から遅くとも2か月以内を原則とする旨が示されています。採択通知を待ってから社内稟議を始めると、間に合わなくなるケースがあるため注意が必要です。

同じ「投資支援」でも、販路開拓寄り・IT導入寄りの制度もあります。投資内容によっては、別制度のほうが要件にフィットすることがあるため、横並びで比較しておくと判断が早くなります。


4. ものづくり補助金の申請代行と実務の注意点(よくある疑問)

「申請代行を頼むべきか」は、忙しい現場ほど悩みます。結論から言うと、外部支援は有効ですが、丸投げは危険で、最終責任は事業者側に残ります。

申請代行(支援)で整理すべき“できること/できないこと”

ポイント① 代行に期待しすぎると、計画の芯が弱くなる

審査で見られるのは、現場の課題設定と投資の必要性です。ここが外注任せになると、言葉は整っても実態とズレて、採択後の交付申請・検査で詰まることがあります。

ポイント② 外部支援は「資料の磨き込み」と「手続きの迷い減らし」に使う

おすすめは、社内で骨子(狙う市場、製品・サービス像、設備投資の必然性)を固めたうえで、外部に「審査目線での整形」や「要領に沿ったチェック」を依頼する形です。これなら社内の意思決定も速くなります。

⚠️ 採択結果の理由開示・異議申し立ては受け付けない旨が明記されています。再申請を見据え、提出前の品質を上げることが重要です。

不採択の理由がフィードバックされない前提なら、提出前のセルフチェックが生命線です。第三者レビュー(社内別部署・支援者)を入れて、読み手の疑問を先回りして潰しましょう。

Q&A:対象経費・採択率・手続きでつまずきやすい点

Q. 設備を入れるだけ(更新・増設)でも通りますか?

A. 枠の趣旨によりますが、「新製品・新サービスの開発を伴わない導入だけ」は対象外とされ得ます。更新投資を考える場合は、提供価値の変化まで説明できる形に組み替えるのが現実的です。

Q. 対象経費で一番多い落とし穴は?

A. 「交付決定前に発注してしまう」「支払い方法が要件に合わない」「見積が揃っていない」の3つが典型です。特に納期がタイトな設備ほど、先に動きたくなるので注意してください。

Q. 採択率はどれくらいを想定すべき?

A. 公表されている採択結果を見ると、公募回によって30%台〜50%台まで幅があります。数字を当てにするより、「審査で読まれる順番(課題→解決策→投資→成果)」に沿って、計画の整合性を上げるのが近道です。

Q. 採択後すぐに発注していいですか?

A. 原則は交付決定後です。採択=交付決定ではない点が混乱ポイントで、採択後に交付申請→交付決定を経てから発注・購入の段取りになります。

Q. 申請代行を頼むなら、何を基準に選べばいい?

A. 「同じ枠の支援実績」「見積・仕様・工程の詰め方が具体的か」「採択後の交付申請まで伴走できるか」を見るのがおすすめです。費用体系(着手金+成功報酬など)も含め、成果物の範囲を契約書で明確にしておくとトラブルを避けられます。

5. ものづくり補助金のまとめ

  • ものづくり補助金は「設備投資を伴う新しい価値づくり」を支援する制度
  • 対象経費は機械装置・システム構築費が中心で、発注タイミングや支払い方法が重要
  • 採択率は回ごとに変動するため、数字より計画の整合性(課題→解決策→投資→成果)を磨く
  • 申請代行は丸投げではなく、資料の磨き込みと要領チェックに使うと効果的

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