事業再構築補助金とは?採択率と申請代行の実務ポイントをわかりやすく解説

事業再構築補助金は、新市場進出や事業転換など「事業の軸」を変える投資を支援する制度です。対象要件・補助額・採択率・申請代行の可否まで、実務で迷う点をまとめます。

📋 この記事でわかること

  • 事業再構築補助金の定義と、対象になる「事業再構築」の範囲
  • 補助額・補助率・対象経費など、制度の中身をざっくり俯瞰する方法
  • 採択率の見方と、申請代行(外部支援)で注意すべきポイント

1. 事業再構築補助金とは?公的な定義と「事業再構築」の範囲

事業再構築補助金は、ポストコロナの環境変化に合わせて、思い切った事業転換に踏み出す事業者を後押しする補助制度です。公募要領では、日本経済の構造転換を促す目的が示されています。

ここでいう「事業再構築」は、単なる新商品追加ではなく、事業の“どこを変えるか”が問われます。まずは指針(公的な判断基準)で範囲を押さえましょう。

事業再構築補助金でいう「事業再構築」の定義

ポイント① 6つの類型に当てはまるかが出発点

事業再構築指針では、事業再構築を「新市場進出」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」「地域サプライチェーン維持・強靱化」のいずれかに基づく活動として整理しています。

例えば建設業なら、施工一本から点検・保全(維持管理)へ展開する、解体のノウハウを活かしてリサイクル素材の製造に入る、といった「軸の変更」がイメージしやすいです。

ポイント② 「誰に何をどう提供するか」の変更が説明できるか

同じ製品でも、顧客層やニーズが変われば「新市場」として扱われ得ます。逆に、設備更新や軽微なメニュー追加だけだと、要件に届かないケースが出ます。

審査以前に、要件に合っているかの整理が最重要なので、事業計画は「変更点」を先に言語化してから肉付けすると進めやすいです。

⚠️ 「設備を入れる」だけでは弱い
投資内容よりも先に、事業の変化(市場・提供価値・提供方法)が定義上の「事業再構築」に当てはまるかを確認します。

2. 事業再構築補助金の背景・目的

本制度はコロナ禍で需要構造が変わり、従来の延長線では回復が難しい業種が増えたことを背景に設計されました。中小企業庁は、基金が令和3年度に造成され、ポストコロナ・ウィズコロナへの対応を目的としている点を説明しています。

一方で、コロナの位置づけ変更(5類移行)など環境が変わり、制度の役割や審査の厳格化も議論されました。行政事業レビューでの指摘を踏まえ、枠の簡素化や審査の厳格化などの見直しが進められています。

「緊急支援」から「構造転換投資」へ、狙いが寄った

後半の公募では、支援対象を「これから事業再構築を行う事業者」や「影響が残る事業者」に重点化する方針が示されています。制度理解としては、“コロナ対策の延長”ではなく“次の収益の柱づくり”が軸になった、と捉えるとズレにくいです。

建設・不動産領域でも、維持管理の高度化、DX、脱炭素対応など、受注構造が変わるテーマほど説明が通りやすくなります。

3. 事業再構築補助金の具体的な内容:申請枠・補助額・補助対象経費

制度の中身は「何に取り組むか(類型)」と「どの枠で申請するか(事業類型)」の2段で整理すると理解しやすいです。第13回公募では、事業類型が整理され、一部の枠は公募対象外になっています。

ここでは、実務で参照頻度が高い「補助額・補助率」「対象経費」「手続きの流れ」を、必要なところだけ絞って紹介します。

事業再構築補助金の申請枠(第13回公募の整理)

ポイント① 代表的な3枠の違いを押さえる

枠(事業類型) 特徴 補助上限・補助率(目安)
成長分野進出枠(通常類型) 成長分野への大胆な転換、または市場縮小など構造課題への対応を支援。 上限:従業員規模で1,500万〜6,000万円(賃上げ特例で上乗せ)/補助率:中小1/2など
成長分野進出枠(GX進出類型) グリーン成長戦略の分野課題解決に資する取組を支援。 上限:中小3,000万〜8,000万円等/補助率:中小1/2(特例あり)
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) 最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の再構築を支援。 上限:従業員規模で500万〜1,500万円/補助率:中小3/4(一部例外)

数字の細部は申請枠・要件で変わるため、最終判断は公募要領の該当箇所で確認してください。

ポイント② 「基本要件」は枠をまたいで共通する

例えば通常類型では、事業再構築要件に加え、金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認、付加価値額の成長見込みなどが要件として並びます。

要件は事業計画の数字・根拠で説明できるかが肝です。ここが曖昧だと、採択以前に計画が固まりません。

事業再構築補助金の補助対象経費

ポイント① 建物費・設備費は“事業のため”と説明できる範囲

建物費(建設・改修など)や機械装置・システム構築費などが対象として示されています。建設業でも、専用設備の導入や、再構築に必要な改修は検討対象になり得ます。

一方で、建物の単なる購入・賃貸は対象外とされています。対象経費は「区分できること」と「証拠で確認できること」が前提です。

ポイント② “採択=全部通る”ではない

採択後に行う交付申請(交付決定に向けた精査)で、計上した経費が対象外と判断され、減額される可能性が明記されています。資金繰り表は、減額リスク込みで作るのが現実的です。

⚠️ 交付決定前に着手すると対象外
事前着手制度は廃止され、交付決定前に事業を開始した支出は補助対象になりません。

事業再構築補助金の手続きの流れ(申請〜入金まで)

  1. 要件チェック
    自社の計画が「事業再構築」の定義に当てはまるか、どの申請枠が近いかを整理します。
  2. 事業計画の骨子づくり
    市場・顧客・提供価値の変化を先に書き、次に投資内容(設備・改修)を紐づけます。
  3. 支援機関・金融機関の確認
    計画は金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認が要件として示されています。
  4. GビズID取得〜電子申請
    申請は電子申請のみで、GビズIDプライムが必要です。
  5. 採択後:交付申請→交付決定
    採択後に経費の精査と交付申請を行い、交付決定を経てから実施に入ります。
  6. 実績報告→精算→支払
    支出証拠をそろえて実績報告し、確定後に補助金を請求・受領します。さらに事業化状況の報告が求められます。
⚠️ GビズIDは早めに
公募要領では、GビズIDプライムの発行に時間を要する旨が明記されています。締切間際に詰まると取り返しがつかないため、最初に手配します。

4. 事業再構築補助金の採択率:最新の傾向と審査ポイント

採択率は「枠の設計」「応募数」「審査の厳格さ」に左右されます。数字だけで一喜一憂せず、どの回がどんな環境だったかもセットで見ましょう。

事業再構築補助金の採択率(第10〜13回の推移)

公募回 応募数 採択数 採択率(概算)
第13回 3,100 1,101 35.5%
第12回 7,664 2,031 26.5%
第11回 9,207 2,437 26.5%
第10回 10,821 5,205 48.1%

第13回は応募数が減り、全体の採択率は約35.5%でした。一方で第12回・第11回は約26.5%と低めで、時期によって難易度が変わることが分かります。

採択率を上げるために押さえたい審査の見られ方

ポイント① 市場分析は「流行テーマ」ほど厳しく見られる

公募要領では、特定期間に類似テーマが集中する場合、過剰投資の恐れから別途審査し、減点する旨が示されています。つまり「みんながやっているから」は、むしろ説明が難しくなりがちです。

市場規模・競合・差別化要因は、資料や根拠を添えて「なぜ勝てるか」を短い文章で言える状態にすると、計画全体が締まります。

ポイント② 収益計画の数字は“採択後”も追われる

収益計画(表)で示した付加価値額や給与支給総額などは、事業化状況報告等で達成状況が確認されることが記載されています。書きやすい数字ではなく、現場で回せる数字に寄せるのが安全です。

建設業の場合、受注見込みが「案件次第」になりやすいので、販路(元請け/直販/管理会社連携)と体制(施工・点検・営業の分担)をセットで書くと、実行性が伝わります。

⚠️ 採択=資金が確定ではない
採択後の交付申請で経費が精査され、減額・対象外になる可能性があります。資金計画は「満額前提」を避けます。

5. 事業再構築補助金の申請代行は可能?実務の注意点Q&A

「申請代行に頼めばラクになる」と考えたくなりますが、補助金は“手続きの主語”が重要です。トラブルを避けるために、できること・できないことを線引きしておきましょう。

Q1. 事業再構築補助金は申請代行できますか?

結論:申請の提出自体は申請者本人が行う必要があります。公募要領では、電子申請システムに代理申請の委任関係を管理する機能がないこと、申請者自身が申請すべきことが明記されています。

外部支援は「計画作成の伴走」や「書類の整え方の助言」として活用し、最終の入力・提出は社内で完結させる運用が現実的です。

⚠️ ID・パスワード共有はNG
GビズIDのアカウントやパスワードを第三者に開示することは利用規約違反になり得る、と注意喚起があります。申請代行を名乗る業者に安易に渡さないでください。

Q2. 認定支援機関(認定経営革新等支援機関)は何をしてくれる?

認定支援機関(国が認定した支援機関)は、事業計画の確認や助言を通じて、計画の実現性・数字の妥当性を整える役割を担います。要件として「金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認」を求める枠が示されています。

提出書類にも「金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書」が含まれており、計画づくりの早い段階で相談するほど手戻りが減ります。

Q3. いまから事業再構築補助金に新規申請できますか?

公式サイトの案内では、新規の応募申請受付は第13回公募で終了した旨が掲載されています。したがって、いまから本制度に新規応募することはできません。

一方で、後継の制度として「新事業進出補助金」が公募されています。中小企業庁の公募情報では、第3回の申請開始日・締切日も案内されています。

⚠️ 「名称が似ている制度」に注意
事業再構築補助金と新事業進出補助金は狙いが近い一方、要件・上限・審査観点が同じとは限りません。申請する制度の公募要領で再チェックします。

6. まとめ

  • 事業再構築補助金は「事業の軸を変える」投資を支援し、対象範囲は指針で6類型に整理されている
  • 補助額・補助率・要件は枠ごとに異なり、交付決定前の着手は対象外など“手続き順”が重要
  • 採択率は回によって変動し、採択後も交付審査で減額があり得るため資金計画は保守的に組む
  • 申請代行での提出は不可で、GビズIDの共有もNG。外部支援は「伴走」に限定するのが安全
  • 新規応募は第13回で終了。今後は後継制度(新事業進出補助金)を含めて検討する

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