設計者と施工者の違い、責任の所在は?建築基準法2条16・17・18号を詳しく解説!

建物を一つ建てるには、多くの人が関わります。「お金を払う人」「図面を描く人」「現場で釘を打つ人」など様々ですが、建築基準法では、それらの人々を大きく3つの役割に分類し、それぞれの責任の範囲を明確にしています。

それが、今回解説する「建築主(けんちくぬし)」「設計者(せっけいしゃ)」「工事施工者(こうじせこうしゃ)」です。建築トラブルが起きた際、「誰が責任をとるのか?」はこの定義に沿って判断されます。本記事では、建築基準法2条16~18号で定められた建築主や設計者、施工者の違いを軸に条文の解説をします!

📋 この記事でわかること

  • 建築主・設計者・工事施工者の法的定義とそれぞれの役割
  • 設計者に含まれる「一級建築士」や専門建築士の範囲
  • 建築確認申請において各関係者が担う責任の違い
目次

1. 建築基準法2条16・17・18号の条文全文を確認する

まずは、建築基準法第2条における、建築関係三者の定義を定めた条文を確認しましょう。ここには、プロジェクトの「発注者」「計画者」「実行者」が以下のように明確に定義されています。

建築基準法 第2条(用語の定義)
十六 建築主 建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
十七 設計者 その者の責任において、設計図書を作成した者をいい、建築士法第二十条の二第三項又は第二十条の三第三項の規定により建築物が構造関係規定(同法第二十条の二第二項に規定する構造関係規定をいう。以下同じ。)又は設備関係規定(同法第二十条の三第二項に規定する設備関係規定をいう。第五条の六第三項及び第六条第三項第三号において同じ。)に適合することを確認した構造設計一級建築士(同法第十条の三第四項に規定する構造設計一級建築士をいう。以下同じ。)又は設備設計一級建築士(同法第十条の三第四項に規定する設備設計一級建築士をいう。第五条の六第三項及び同号において同じ。)を含むものとする。
十八 工事施工者 建築物、その敷地若しくは第八十八条第一項から第三項までに規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者をいう。

2. 建築主・設計者・施工者の要約と専門用語解説

条文上の難しい表現を噛み砕き、実務における定義を解説します。それぞれの立ち位置の違いを明確にしましょう。

建築主(オーナー)の定義と義務

注文者としての立場

建築主とは、建設工事を発注する「注文者」です。個人住宅なら施主、ビル建設なら事業主がこれにあたります。法的には、建築確認申請の「申請者」となり、建物完成後の維持管理責任も 建築主 が負うことになります。

自ら工事をする場合

請負契約を結ばず、自ら工事を行う(直営工事)場合も「建築主」に含まれます。この場合、後述する施工者の役割も兼ねることになりますが、申請上の立場はあくまで 建築主 です。

設計者の定義とは?一級建築士は設計者?

設計図書の作成責任者

設計者は、その責任において「設計図書」を作成した人を指します。単に図面を引く作業者ではなく、その内容が法令に適合しているかを確認し、責任を負う立場です。

大きな建物の場合は、骨組みや設備の安全性を確認した専門の建築士も含まれます。

構造・設備一級建築士とは?

構造設計一級建築士、設備設計一級建築士とは通常の建築士とは別に、一定規模以上の巨大な建物や複雑な建物を建てる際、その「骨組み(構造)」や「電気・空調等の設備」の安全性を専門にチェックする資格を持った人たちのことです。彼らも法律上「設計者」の一部として責任を負います。

工事施工者の定義、実務内容は?

工事の請負人

工事施工者は、建築主から建設工事を請け負い実際に工事を行う「建設会社」や「工務店」を指します。敷地内の工作物(擁壁など)の工事を行う者も含まれます。

施工管理の法的責任

施工者は、設計者が作成した設計図書通りに工事を行う義務があります。万が一、設計と異なる施工が行われた場合、施工者は 法令違反の責任 を問われることになります。

3. 三者の具体的な違いと実務上の重要ポイント

それぞれの役割と、混同しやすいポイントを比較表で整理します。

区分主な役割資格の要否
建築主工事の発注、申請の主体不要
設計者設計図書の作成、法適合確認規模により (建築士) 資格が必要
工事施工者現場での工事実施、工程管理建設業許可などが必要な場合あり

ポイント① 「工事監理者」との違い

よく混同されますが、設計者 は図面を作る人、工事監理者 はその図面通りに施工されているかチェックする人です。建築基準法では、一定の建築物には (工事監理者) を置くことが義務付けられています。

ポイント② 責任の連鎖

建物に不備があった場合、まずは 建築主 が行政から是正命令を受けますが、その原因が設計ミスなら 設計者 、施工ミスなら 施工者 に対する損害賠償請求などの問題へ発展します。各者が 2号16~18条 の定義に沿って正しく職務を全うすることが、プロジェクト全体の安全に繋がります。

名義貸しの禁止
実質的な設計を行っていない者が 設計者 として名前だけを貸す行為は、厳格な罰則の対象となります。

4. 建築確認申請における関係三者の連携ステップ

確認申請から建物完成まで、三者は以下のステップで連携します。

  1. 設計図書の確定(設計者)
    建築主の要望を反映しつつ、法令に適合した図面を作成します。
  2. 確認申請の提出(建築主)
    設計者が代理人となり、建築主の名前で申請を行います。この際、 設計者 の氏名も明記されます。
  3. 工事着手(施工者)
    確認済証の交付後、施工者が工事を開始します。
  4. 完了検査の受検(建築主・施工者)
    工事完了後、施工内容が図面通りであることを確認し、建築主が検査を受けます。

5.建築確認申請との関係

建物を建てる前の「建築確認申請」において、この3者の定義は最も重要なベースとなります。

  1. 申請書の第一面に記名される 確認申請書の顔となる第一面には、必ず「建築主」「設計者」「工事施工者」の氏名と住所を記載する欄があります。
  2. 責任の所在の明確化 もし工事中に法律違反が見つかったり、完成後に手抜き工事による欠陥(瑕疵)が見つかったりした場合、「役所が誰に対して是正命令(直しなさいという命令)を出すか」や、「誰が賠償責任を負うか」の根拠になります。
  • 無断で図面と違う工事をした: 施工者の責任
  • そもそも図面が法律違反だった: 設計者の責任
  • 違反と知っていて無理やり工事させた: 建築主の責任(法第9条に基づく違反建築物の是正命令は、原則として建築主に出されます)

5. まとめ

建築基準法2号16~18条は、建築プロジェクトにおける三者の「責任の境界線」を定義するものです。

  • 建築主は「注文者」であり、確認申請等の法的手続きの主体である
  • 設計者は「責任ある図面作成者」であり、一級建築士等の資格者が担う
  • 工事施工者は「現場の実行者」であり、設計図書を具現化する義務を負う
  • 三者がそれぞれの定義に基づき役割を果たすことで、建物の安全性が担保される

各者の違いと定義を正しく理解し、信頼できるパートナーと協力して確実な建築計画を進めていきましょう。

会社概要

AITech (アイテック) は、生成AIの最先端技術を駆使して、 建設業界の変革を目指すAIスタートアップです。東京大学の松尾豊研究室発として、画像解析AIなどの 独自AI技術をベースとし、御社の業務効率化と自動化を通じた人手不足の解消を支援します。

ぜひ共有もお願いいたします!

コメント

コメントする

目次