インナーバルコニーとは?メリット・デメリットを比較して確認!
「洗濯物を外に干したいけど、急な雨が心配…」
「家にいながら、カフェやアウトドアのような特別な時間を過ごしたい」
そんな願いを叶えてくれるのが、半屋外スペースの「インナーバルコニー」です。近年、注文住宅で人気が高まっているインナーバルコニーですが、具体的にどのようなものかご存じでしょうか?
この記事では、インナーバルコニーの基本的な知識から、混同されがちなベランダやバルコニーとの違い、そして気になるメリット・デメリットまで徹底的に解説します。さらに、後悔しないためのポイントやおしゃれな活用方法もご紹介。家づくりを検討している方は、ぜひ新たな選択肢として参考にしてください。
インナーバルコニーとは?
インナーバルコニーとは、建物の2階以上に設けられた、建物の一部が内側に引っ込んでいる屋根付きの屋外スペースのことです。一般的なバルコニーやベランダよりも屋根が広く、奥行きがあるのが大きな特徴です。本来は部屋にすることもできたスペースをバルコニーにしているため、室内との一体感が生まれやすい構造になっています。
建築基準法上では、条件によって室内の「延べ床面積」に含まれる内部空間と見なされることがあります。
他のスペースとの違いを比較
インナーバルコニーとよく混同されがちな「ベランダ」や「バルコニー」、「サンルーム」など。それぞれの違いを表で比較してみましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
インナーバルコニー | 2階以上に設置。建物の一部が内側に引っ込んでいる形状で、屋根がある。奥行きが広いものが多い。 |
ベランダ | 建物の外壁から外に張り出している形状で、屋根がある。比較的コンパクトなものが多い。 |
バルコニー | 建物の外壁から外に張り出している形状で、屋根がないのが基本。 |
ルーフバルコニー | 階下の屋根(ルーフ)部分を利用して作られたバルコニー。広く開放的だが、屋根がない。 |
サンルーム | 天井や壁がガラスなどで囲われた室内空間。雨風が入らず、太陽光を多く取り込める。1階にも設置可能。 |
テラス | 1階のリビングなどから直接出られる、地面より一段高くなった屋外スペース。 |
インナーバルコニーの5つのメリット
多目的に使えるインナーバルコニーには、暮らしを豊かにするたくさんのメリットがあります。ここでは主な5つのメリットをご紹介します。
1. 天候の影響を受けにくい
インナーバルコニー最大のメリットは、屋根があるため天候に左右されにくいことです。奥行きが深いため、急な雨が降ってきても洗濯物が濡れにくく、慌てて取り込む必要がありません。共働きのご家庭など、日中留守にしがちな方には特に心強い味方です。また、天気の良い日には直射日光を避けられるため、紫外線を気にせず快適に過ごせます。
2. 部屋と一体化した開放的な空間が生まれる
リビングなどの部屋と隣接させることで、室内空間の延長(セカンドリビング)として活用できます。部屋とインナーバルコニーの床材を合わせたり、段差をなくしたりすると、より一体感が生まれ、視覚的に部屋が広く見える効果も期待できます。部屋から一歩外に出れば、風を感じながらくつろげるプライベートな半屋外空間が手に入ります。
3. プライバシーを確保しやすい
建物の一部が内側に入り込んでいる構造上、外壁や屋根が周囲からの視線を自然に遮ってくれます。住宅密集地や隣家との距離が近い場合でも、外からの視線が気になりにくく、プライバシーを守りやすいのが特徴です。人目を気にせず、リラックスした時間を過ごせます。
4. 子どもやペットの安全な遊び場になる
屋根や手すり、外壁で囲まれているため、転落などのリスクが低く、子どもやペットを安心して遊ばせることができます。室内と繋がっているので、家事をしながらでも様子を確認しやすいのも嬉しいポイント。夏場にはビニールプールを置いて水遊びを楽しむなど、公園に行かなくても手軽に外遊びができます。
5. さまざまな用途に活用できる
インナーバルコニーは、その広さとプライベート感を活かして多目的に使えます。洗濯物干しはもちろん、テーブルセットを置いてカフェスペースにしたり、ガーデニングや家庭菜園、DIYの作業場、天体観測など、趣味の空間としても大活躍します。アイデア次第で活用の幅が無限に広がる、まさに「プラスアルファの空間」です。
知っておきたいインナーバルコニーの5つのデメリット
魅力的なインナーバルコニーですが、設置する前に知っておくべきデメリットもあります。後悔しないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
1. 固定資産税が高くなる可能性がある
インナーバルコニーは、奥行きが2mを超えるなど一定の条件を満たすと、建物の「延べ床面積」に算入されます。延べ床面積が広くなると、その分、固定資産税も高くなる可能性があります。税金に関わる重要なポイントなので、設計段階でハウスメーカーや設計士に確認することが不可欠です。
2. 設置費用やメンテナンス費用がかかる
屋根や壁が必要になるため、一般的なバルコニーよりも設置費用が高くなる傾向にあります。また、紫外線や風雨にさらされるため、室内よりも劣化が進みやすく、5~10年ごとの定期的な防水メンテナンスが必要です。土埃や落ち葉もたまりやすいため、こまめな掃除も欠かせません。
3. 隣接する部屋が暗くなることがある
インナーバルコニーの屋根が庇(ひさし)の役割を果たし、隣接する部屋への日差しを遮ってしまうことがあります。特に奥行きの深いインナーバルコニーを設ける場合は注意が必要です。建物の向きや時間帯ごとの日当たりをシミュレーションし、必要であれば天窓や高窓を設けるなどの採光対策を検討しましょう。
4. 間取りが制限される場合がある
インナーバルコニーは建物の内部にスペースを確保するため、その分、他の部屋の広さや配置に影響が出ることがあります。土地の「建ぺい率」や「容積率」によっては、インナーバルコニーを設けることで居住スペースが狭くなってしまう可能性も。家全体のバランスを考えた設計が重要です。
5. 雨漏りのリスクがある
インナーバルコニーの下の階は室内空間になるため、防水施工が不十分だと雨漏りの原因になる可能性があります。ひび割れや排水溝の詰まりなどにも注意が必要です。信頼できる施工会社を選び、定期的なメンテナンスを怠らないことが大切です。
後悔しない!インナーバルコニーづくりの4つのポイント
メリット・デメリットを理解した上で、インナーバルコニーを最大限に活用し、満足のいく空間にするためのポイントをご紹介します。
1. 活用目的を明確にする
「何のためにインナーバルコニーを使いたいか」を事前に具体的にイメージすることが最も重要です。洗濯物を干すのが主目的なら家事動線を考慮した配置に、BBQや子どもの遊び場にしたいならリビングと隣接させるなど、目的に応じて最適な広さ、配置、設備(水道やコンセントなど)が変わってきます。「とりあえず作ったけど使わない」という後悔を避けるためにも、家族で使い道を話し合いましょう。
2. 適切な広さ(特に奥行き)を確保する
使い勝手を大きく左右するのが「奥行き」です。洗濯物を干すだけなら1m程度でも可能ですが、テーブルセットを置いたり多目的に使ったりするなら、最低でも1.5m、できれば2m以上の奥行きがあると快適です。ただし、広すぎると部屋が暗くなったり、コストが大幅に上がったりする可能性もあるため、目的と予算に合ったバランスの良い広さを検討しましょう。
3. 周辺環境を確認し、プライバシー対策を検討する
家を建てる前に、隣接する建物からの視線などを確認しましょう。もし視線が気になる場合は、外壁や手すりを高くしたり、目隠しフェンスやルーバーを設置したりするなどの対策が有効です。プライベート感を高めることで、よりリラックスできる空間になります。
4. 部屋が暗くならないよう採光を工夫する
日当たりへの影響が心配な場合は、設計段階で対策を講じましょう。インナーバルコニーの手すりを光を通す素材(半透明パネルやスチール製など)にしたり、隣接する部屋に吹き抜けや天窓、高窓を設けたりすることで、明るさを確保できます。
アイデア満載!インナーバルコニーのおしゃれな活用方法
インナーバルコニーは、ライフスタイルに合わせてさまざまな楽しみ方ができます。ここでは、具体的な活用アイデアをいくつかご紹介します。
- 【ランドリースペースとして】天気を気にせず洗濯物を干せるのはもちろん、洗濯機を置く脱衣所と隣接させれば「洗濯→干す」の動線がスムーズに。
- 【おうちキャンプ・アウトドアリビングとして】テントやハンモックを設置すれば、手軽にキャンプ気分を味わえます。テーブルと椅子を置いて、休日の朝食や夕涼みを楽しむのも素敵です。
- 【趣味を楽しむ空間として】ガーデニングや家庭菜園、DIYの作業場、夜には天体観測など、人目を気にせず趣味に没頭できます。
- 【カフェ風のくつろぎ空間として】おしゃれなガーデンファニチャーや観葉植物を置けば、自宅にリラックスできるカフェスペースが完成。読書やお茶の時間が特別なものになります。
- 【子どものプレイスペースとして】夏はビニールプール、雨の日はお絵描きや粘土遊びなど、天候に関わらずのびのびと遊べる空間になります。
まとめ
今回は、インナーバルコニーについて詳しく解説しました。
インナーバルコニーは、屋根があることで天候の影響を受けにくく、プライバシーを確保しながら多目的に使える、非常に魅力的な空間です。ランドリースペースとしての実用性はもちろん、アウトドアリビングや趣味のスペースなど、暮らしに彩りとゆとりを与えてくれます。
一方で、コストや固定資産税、隣接する部屋の日当たりなど、考慮すべき点もあります。設置してから後悔しないためには、「なぜインナーバルコニーが欲しいのか」「どのように使いたいのか」という目的を明確にすることが何よりも大切です。
この記事でご紹介したメリット・デメリットや後悔しないためのポイントを参考に、ご自身のライフスタイルに合った、素敵なインナーバルコニーを実現してくださいね。
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